家電メーカーのスマートフォン事業成功における要諦

Research

日本の家電メーカー「バルミューダ」は2021年5月にスマートフォン事業を開始し、
高価格帯のブランド戦略で展開しましたが、わずか2年で撤退を表明しました。

今回はバルミューダのスマートフォン事業における取組みと、
近年スマートフォンや家電事業において、ユーザーの支持率が高く事業成長率の高い
Xiaomi(シャオミ)の取組みから、家電メーカーにおける事業成功の要諦を考察してみます。

バルミューダのスマートフォン事業

バルミューダについて

バルミューダ株式会社は、日本の家電メーカーとして急速に成長しており、
2021年度の売上高は前年比で約46%増の183億円を記録している企業です。

「家電事業」の単一セグメントで事業を展開している
ファブレス(自社工場を保有せず、外部の製造工場に製品の生産を委託する)メーカーであり、
消費者に製品のコンセプトをできるだけ的確に伝えるために、製品のプロモーションに係る写真、
動画等のマーケティングコンテンツについては、内製していることで知られています。
連結子会社BALMUDA Europe GmbHは、主に欧州を中心に当社製品の販売を行っています。

スマートフォン事業の開始

2021年11月にスマートフォン事業を開始させ、発売された「BALMUDA Phone」は、
バルミューダが得意とするシンプルで美しいデザインと割り切った性能、
コンパクトなサイズ感に特徴を持つ製品で注目を浴びた製品
です。

Source:BALUMUDA HP(https://tech.balmuda.com/jp/phone/

昨今のスマートフォン市場ではAppleやSamsungなどのグローバル企業が市場を席巻しており、
日本メーカーは苦戦を強いられる中、バルミューダフォンが高品質な製品を提供し、
市場に巻き返すことができれば、日本メーカーの立場が改善される可能性があることで
その後の動向が期待されていました。

スマートフォン事業からの撤退と理由

スマートフォン事業の撤退公表

寺尾氏は、「BALMUDA Technologies」ブランドについて、2023年4月10日の決算説明会において、同ブランド第2弾となるスマートフォン端末の開発を断念したことを明らかにしました。

バルミューダ代表取締役社長の寺尾玄氏は、2021年末時点で
「まさにネバーギブアップの精神で、ソフトウェアの改善をずっと行ってきた。
今この端末(BALMUDA Phone)を丁寧に丁寧に磨いていき、いかに体験価値を
上げるかに注力している。これは必ずいい方向に向かう」と語り、
「数年後にはBALMUDA Phoneが間違いなく主力商品になると考えている」と強調しており、
国内家電メーカーのスマートフォン事業に対する成功事例となるか期待が寄せられていましたが、
2年程度で撤退を強いられる結果となりました。

バルミューダは撤退に関わる費用として、同社は2023年度1Q決算において
5億3600万円の特別損失を計上しています。

事業撤退の理由

バルミューダはソフトウェアに力を入れており、「BALMUDA App」と呼ばれる
独自のスマートフォンアプリを開発しました。
寺尾氏は、アプリ開発等のソフトウェア費用が嵩み、事業が成り行かなくなったと話しています。

主なアプリ機能は以下です。

  1. 製品のリモート操作機能

BALMUDAの一部の製品は、スマートフォンからリモート操作ができるようになっています。例えば、BALMUDA The Toasterは、スマートフォンからトーストの焼き加減を調整できるようになっています。BALMUDA Appをインストールすることで、製品とスマートフォンをBluetoothで接続し、
リモート操作を行うことができます。

  1. 製品のメンテナンス機能

BALMUDA Appには、製品のメンテナンス機能があります。例えば、BALMUDA The AirEngineは、空気清浄機ですが、定期的にフィルターを交換する必要があります。BALMUDA Appを使うことで、フィルター交換のタイミングを通知してくれたり、フィルターの残量を確認したりすることができます。

また、BALMUDA Appは、BALMUDA製品の使い方やメンテナンス方法に関する情報を提供するコンテンツも豊富に用意されています。BALMUDA製品をより便利に、そして長く使うための情報が充実しているため、BALMUDAファンにとっては欠かせないアプリケーションとなっています。

モノ売りの売り切り事業に限界を見せた家電メーカーにおいて、
ソフトウェアに力点を置く動きは多く見られていますが、
ソフトウェア開発にあたる提供価値の絞り込みや、開発の効率化等のノウハウ不足により、
事業として機能しないケースも多くみられるように思います。

家電メーカーのスマートフォン事業成功の要諦

スマホをはじめとした家電製品で成長率が高いXiaomiを例に成功の取組みを事例に、
家電メーカーのスマートフォン事業成功における要諦を考えてみたいと思います。

家電メーカーのスマートフォン事業成功における要諦

  1. ユーザー視点での提供価値構築
  2. 柔軟な軌道修正とアジャイル開発
  3. 自社だけで作らないエコシステムの構築

ユーザー視点での提供価値構築

Xiaomiのユーザー会は、Xiaomiの製品を利用しているユーザーが集まり、情報交換や交流を行う場所です。Xiaomiは、スマートフォンやタブレット、ノートパソコン、スマートウォッチなど様々な製品を展開しており、その製品を利用する人々が様々なニーズを持っています。

Source Discover – Mi Global Home

ユーザー会は、そのようなニーズに応えるために設立され、様々な活動を展開しています。例えば、新製品の情報共有やレビュー、製品の使い方やトラブルシューティングの相談、アプリやゲームの紹介、イベントの開催などが行われています。

Xiaomiのユーザー会は、オンライン上での活動が主流となっており、ユーザー同士がフォーラムやSNSなどを通じて交流しています。また、Xiaomi自身も公式のユーザー会を運営しており、Xiaomiファンクラブという名称で、製品の情報やプレゼント企画などを提供しています。

Xiaomiのユーザー会は、Xiaomiの製品を利用する人々が情報交換や交流を通じて、より良い製品を使いこなすことができるように支援しています。Xiaomiの製品を利用する人々にとって、ユーザー会は非常に重要な存在であり、多くの人々が参加しているとされています。

柔軟な軌道修正とアジャイル開発

Xiaomiは、自社製品のアプリについて、ユーザーによるベータ版のテストを積極的に行っています。
ベータ版とは、正式リリース前に一部のユーザーに提供され、実際の利用環境での動作検証や改善点のフィードバックを得ることができるバージョンのことです。

Xiaomiでは、自社製品のアプリに対してユーザーのフィードバックを重視しており、
ベータ版の提供によってより多くのユーザーの意見を取り入れることができます。
ベータ版に参加するユーザーは、自己責任での利用となり、バグや不具合が発生する可能性があるため一定の注意が必要ですが、その代わりに、最新機能や新しいUIデザインをいち早く試すことができ、
将来的にリリースされる製品の品質向上に貢献することができます。

Xiaomiのベータ版プログラムに参加する方法は、一般的にXiaomiの公式ウェブサイトやフォーラムなど
で募集が行われます。応募条件には、Xiaomi製品の利用実績やテストに関する経験などが挙げられることがあります。また、ベータ版に参加するユーザーは、自身が見つけたバグや改善案をフィードバックすることが求められます。

Xiaomiのベータ版プログラムには、ユーザーの声を重視する姿勢が表れています。
これによって、Xiaomiは製品の品質向上に努めており、ユーザーのニーズに合わせた製品を提供することを目指しています。ベータ版プログラムへの参加は、Xiaomi製品をより深く知りたいという方や、
製品の品質向上に貢献したいという方には良い機会となっています。

自社だけで作らないエコシステムの構築

Xiaomiはスタートアップとの協業を促進し、エコシステムの拡大を図ることで、
内製に留まらない新しい技術や製品を生み出す取組み
を進めています。

Xiaomiの「Xiaomi Open Platform」は、スタートアップがXiaomiのエコシステムに参加するためのプログラムです。このプラットフォームを通じて、スタートアップはXiaomiの技術やリソースを活用し、Xiaomiの製品と協力して新しい製品を開発することができます。また、Xiaomiは、スタートアップの技術やアイデアを取り入れ、Xiaomiの製品を改善することができます。

また、Xiaomiは、スタートアップに資金を提供することで支援しています。
Xiaomiの「Mi Ecosystem Investment Fund」は、スタートアップへの投資を通じて、
新しい技術や製品の開発を支援しています。このファンドは、Xiaomiのエコシステムに
参加するスタートアップに対して投資を行っており、スタートアップには、
Xiaomiのリソースや技術を活用することができます。

Xiaomiは、スタートアップとの協業を進めることで、エコシステムを拡大し、
新しい製品やサービスを生み出すことを目指しています。スタートアップは、
Xiaomiのエコシステムに参加することで、新しい市場を開拓し、ビジネスの成長を促進することができます。Xiaomiのエコシステムは、スタートアップとの協業によって、より強固なものとなっています。

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